2008年2月14日木曜日

【身の丈消費】

住宅価格の下落が続く米国。
New York Times に、米国民もようやく身の丈消費にならざるを得なくなってきた、との記事がありました。
http://www.nytimes.com/2008/02/05/business/05spend.html?pagewanted=1&_r=1&adxnnlx=1202966430-%20fB8Qtux5v835Xn3/G40dQ
  • 1950年代と60年代にクレジットカードが人気化し、給料日の前に買い物をするようになる。
  • 1980年代までには、株式市場の恩恵によって収入以上に買うようになる。
  • 1984年には、アメリカ人は収入の10分の1を貯金していたが、10年後にはその半分となり、いまや ややマイナス(支出>収入)。
  • 全世帯の約3分の1にあたる3400万世帯が過去4年間に自宅を担保にお金を借り、その世帯の貯蓄率は2006年にはマイナス13%。
  • 昨年には改善したもののマイナス7%。
  • 2004年から2006年の間に、アメリカ人は家の売却やモーゲージによる現金引き出しや担保ローンによって、年間8000億ドル(85兆円!)を得ていた。

いままでも、借金体質の消費大国など、よく指摘されます。
こうして、データをみると、あらためてたいしたもの、というか消費にかけるエネルギーを感じます。

記事では、家のローンの返済におわれ、豪邸からアパートに移ることになった人の事例なども出てきます。

近代アメリカは、なにやら錬金術めいたことによっても繁栄を維持していた、というように思えてしまいますね。
身の丈が一番ということでしょう。

もっとも、これまでもそうであったように、サブプライム不況が過ぎれば、また消費ブームになるのではないでしょうか。
ある意味、それがアメリカという文明のアイデンティティという気がします。
ところで、クレジット=信用というのは、考えれば考えるほど不思議なものです。
紙幣も、紙きれなのに物が買えるという信用があるから価値があり、クレジットカードもそうでしょう。
一方で、信用がないとなると、なだれをうったように価値が減ります。
偽装問題による信用喪失も、同じ構図でしょう。
信用がないとなると、さらにチェックなどのための余計なコストもかかります。
クレジットカードの信用スコアにしても、食品の安全にしても、信用してもらうためのコツコツと不断の努力が積み重なってはじめて得られるものです。
コツコツの対価というわけですね。
そして、コツコツの対価は、少しの油断や慢心によって瓦解する。
そのことを忘れないようにしたいものです。